異なる意見に触れる
部下である研究員の報告を聞き終えた上席研究員が、一呼吸おいて口を開いた。
「なるほど。僕はそれとはまた違う意見を持つんだけどね」と、淡々と自論を述べる。
おそらく彼は、自分の意見が正しい(はず)と思っていても、
相手の意見を頭ごなしに否定することはせず、そのスタイルを取るだろう。
冷静に議論を進めるために、そして何より、実りある成果のために、
自らの意見を客観的なものとして扱うだろう。
人と自分の意見が違うのは当たり前のことだとわかっていても、
いざ違うとなると、すかさず感情が入り込んで事をややこしくする。
なぜわかってくれないのか、と。
状況を自分主体でのみ捉えると、視点は限られ排他的になりがちである。
でも、人の数だけ想いがあり、意見がある。
議論の空間には、ひと工夫が必要。
異なる意見に触れたら、"チッ" と舌を鳴らす前に思い出す。
そうそう、これは自分の視点が増えるチャンスである。