あたりまえのありがたみ
気を付けていたつもりが案外立派な風邪を引いてしまい、騙し騙し過ごした一週間。
身体の感覚とはよくできているもので、症状にも "ひと山越えた感" がある。
何をやっても効果を感じないときもあれば、
何が効いたのか、回復に向かい始めたと感じることもある。
選挙投票日の今日、東京は風もなく穏やかな青空。
日本海側は吹雪いて大荒れというから、この時期の不公平感は否めない。
天気が良いだけで、健康なだけで、どれだけありがたいことか。
小学校の体育館で投票を済ませ、陽射しを味わいながら帰る道々、
目に入るひとつひとつの光景に、穏やかでつつましい温かさがある。
オペラが鳴り響くお宅、
選挙ポスターの前で立ち止まり「どっちもどっちだな」と苦笑いするカップル、
野球のユニフォーム姿の小学生集団、
横断歩道に飛び出した子を叱る母親、
お祖母さんとサッカーボールを蹴りながら歩く幼児。
何という光景でもないけれど、
平穏な時間を当たり前に享受できる社会が、世界中どこにでもあるわけではない。
一票の格差など、まったく問題がないわけではないが、
そこそこ公正な選挙制度が運営されている社会にいることをありがたく思う。
自分の思った通りに進むかどうかは別として、
それぞれの民意を示す機会、投票権という権利は与えられている。
政治家という、面倒極まりない仕事を買って出てくれる人も世の中にはいらっしゃる。
何が効いたかわからないけれど、いつの間にか社会が良くなっていた、ということはないだろう。
失敗を重ね、手こずりながらも、回復に向けて臨んでいくしかない。
とはいえ、風邪のぶり返しは避けたいと願う。