落葉
欅の落葉がピークを迎えようとしている。
越冬に必要な養分を幹に蓄え、役目を終えた葉は枝から落とされていく。
真夏には歩道に木陰を作り、厳しい陽射しから守ってくれた豊かな枝葉。
陽光を受けてひらひらと舞い落ちるその光景は美しいが、
庭の手入れに余念がない人にとって、欅の落ち葉は恨めしかろう。
カラカラと風に転がされる葉音を聞いては「また庭掃きだ…」とがっかりする人もいる。
北国は、あっという間に秋から冬へと移行したという。初雪のニュースが相次いだ。
雪化粧と言えば柔らかな響きだが、
実態としては、降雪によるさまざまな支障や制約が伴う日々の連続だ。
綺麗ごとだけでは、日々は運ばれない。
逆説的だが、だからこそ「雪化粧」という名付けが行われたのかもしれない。
厳しい自然に美を見出して、しばし眺め入ることが束の間の安らぎともなる。
ひとつの事象に何を見るか。
その時の、ひとそれぞれの想いが反映されることだろう。