宿命と運命
宿命と運命は別物です。
ふたつの違いについては、算命学を習い始めてすぐに
(宿命 + 環境)× 努力 = 運命
と教わります。
宿命は改良できないもの、不変。
運命は改良できるもの、可変。
なるほど、と知識としては理解した気になります。
では、この式を見てリアルに感じる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
腹に落ちてくるような理解のために、すこし想像を広げてみたいと思います。
宿命に備えるものとしては「性格」や「行動パターン」などの特徴がありますが、
それらの要素を「パレット上に並べた絵具」とします。
ひとそれぞれ持ち色の種類や数が異なり、
仮に同じ下絵(テーマ)で描いたとしても、出来上がる絵はすべて違ってきます。
持ち色の種類・数とその組み合わせ、色を重ねる順序やタイミングによって
重なり合う色合いにはそれぞれの妙があります。
キャンバスや画用紙への塗り方も、絵筆、ペインティングナイフでは色の乗り方も
違います。指を使う場合もあれば、ブラシを使う人もいるでしょう。
算命学では宿命を生年月日から導き出すため、
生年月日が同じ人は同じ配色のパレットを持つことになりますが、
仕上がりが違うことは、これで容易にイメージできるのではないかと思います。
緑色といってもバリエーションがありますね。
湖の底のような濃い深い青緑もあれば、若葉のような生命力を感じる黄緑もある。
どんな色をどれくらいの数・分量を持って生まれてきたか、
鑑定でもしなければ、ふつうは知らずに人生を送ります。
にもかかわらず、実に多くの方々がパレットの絵具を使いこなし、
今を精一杯に生きていらっしゃるさまを拝見するたび、
人間の不思議や魂の神秘を感じずにはいられません。
組み合わせ上手とならないときもあるかもしれません。
使いこなせていない色もあるかもしれません。
器用に描けない方もいらっしゃるかもしれません。
どう描いたらよいか迷うときもあるかもしれません。
それでも。
何をどれだけ持っているかなんて知らなくても、
それぞれが自分のキャンバスに向き合っているという素晴らしさを、
私たちを包む大自然は見守ってくれているのではないかと思うのです。
この星を持つから、あの星を持つから、こういう流れだから。
鑑定はそんな事柄をキーにして進めさせていただくわけですが、
いつもそれらを飛び越えた、おひとりおひとりの神秘に触れさせていただいているような気がして、
身の引き締まる想いがいたします。
明日からまた一週間が始まりますね。
それぞれの持ち場で、がんばってまいりましょう。